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一方で、その他の感覚はどうでしょうか?
触覚も、皮膚の単位面積当たりに加わる刺激の強さや温度などが比較的数値化しやすいものです。
しかし 味覚や嗅覚においては、数値化することが難しいのです。
例えば、においでは、同じような化学構造をもっているものでも、においがまったく違うこともあります。いいにおい、悪いにおいにおいなど、好みがあるため個人差があり、同じ尺度で「測る」ということが不可能になってしまうのです。
また味覚も、甘味、酸味、苦味、塩味、うま味といった漠然とした分類はあります。
しかし、レモンとライムの酸味の違いを明確に測定できるかといえば、それは不可能なのです。
このように、においや味の本質はまだ見極められていないのが現状です。
その上、 仮に上手く数値化できたとしても、実験には大変な時間と苦労がともないます。
前の項目(においが記憶を蘇らせる ) にもあったように、光や音が残存しないことに比べ、においや味はその影響が長く残ってしまいます。
次の実験に進むためににおいの残存を消すということに、研究者がかなり苦労しているのです…。
これまで世界的にも苦労が多く、実りの少ないにおいの研究は避けられ、生理学者の多くが視覚、聴覚研究への道を選ぶ傾向が続いてきました。
最近はアロマテラピーなど、においの効用も注目され始めてはいますが、科学的研究はゆっくりと進んでいます…。
嗅覚・味覚に関しての研究は努力がさらに求められています。